人魚王子 (ウィングス・コミックス) by コナリミサト ダウンロード PDF EPUB F2
尾崎先生のファンです。
先生の描かれる作品にはどれも祈るような切実さがあって、見ていて痛々しく、人生はただあるようにあるだけだと思い知らされます。
登場人物はみんな何かしら傷をもっていて、多感な時期のヒトだけでなく、成人しても中身は変わらない。傷つけあって離れる人もいれば、それでもそばに居続ける人もいる。みんなじぶんらしく生きているだけで、その繊細なニュアンスの中で人間関係が動く。
傍から見ると破天荒なあかりにはそうなった理由があるし、一見単純な真鳥に救われると思っていたら、彼女の裏にも複雑な事情がある。それがなにも特別でなく普通のこと。世の中には自分の常識だけで生きていると気が付くことが出来ない他人の事情があって、みんな違って当たり前なんだと思えたらもっと適度に無関心で優しくなれるのかなって思いました。
おとぎ話のようでありながら生々しく、とても身近に感じながら読みふけることができ、結局は生きるしかないんだなっていう覚悟のような諦観のような、不思議にポジティブな気持ちになることが出来ます。あと非常に絵柄が美しいこともおススメ出来るポイントです。